10GW時代到来!米国系統用エネルギー貯蔵が急拡大

10GW時代到来!米国系統用エネルギー貯蔵が急拡大

再生可能エネルギーを安定して活用するために欠かせないのが、大規模な『系統用エネルギー貯蔵』です。

米国ではカリフォルニア州を筆頭に導入が進んでいますが、2024年には年間で、10GWを超えるとの見通しが浮上。特に、化石燃料大国のイメージが強いテキサス州が、急拡大している点に注目が集まります。

この記事では、その理由と今後の展望を3つの視点からわかりやすく解説します。

系統用エネルギー貯蔵とは? 2023年第3四半期の現状

系統用エネルギー貯蔵(グリッドスケール蓄電)とは、大規模な電力系統と直接連携する蓄電池システムのことを指します。太陽光や風力といった再生可能エネルギーは天候などで出力が変動しやすいため、発電した電力を蓄えて必要なときに供給できる大容量蓄電が不可欠です。

出力は「MW(メガワット)」「GW(ギガワット)」で表され、これは同時に供給できる電力量の大きさを示します。一方、容量を示す「MWh」「GWh」は、どれだけ長時間にわたって電力を供給できるかという指標です。

2023年第3四半期(7~9月)に米国全体で新規稼働したエネルギー貯蔵設備は合計3.8GW(9.9GWh)で、前年同期比およそ80%の大幅増でした。そのうち約3.431GW(3431MW)を占めるのが系統用で、全体の9割以上にのぼります。

非住宅用は29MW、住宅用は346MW程度で、依然として系統用が市場をけん引。こうした大規模蓄電の需要が急拡大している背景には、再エネ比率の増加と夏冬のピーク需要対策が挙げられます。

専門調査会社ウッドマッケンジーや米国のアメリカン・クリーン・パワー協会(ACP)の分析によれば、この勢いは2024年以降も衰えず、米国の新規導入量は単年で10GWを超える可能性が高いと見込まれています。

カリフォルニア州とテキサス州からみる累計導入量と急伸の要因

米国で系統用エネルギー貯蔵を牽引している代表例は、カリフォルニア州です。同州の累計導入量は、2023年末までで約8GWに達し、2位のテキサス州(3.5GW)を大きく引き離しています。

しかし、2023年第3四半期の導入量を州別に見ると、カリフォルニア州とテキサス州だけで設置容量の93%を占め、そのうちテキサス州の伸び率は前期比3倍と著しく、今後の拡大に大きな期待が寄せられています。

テキサス州といえば、原油や天然ガスなど化石燃料の生産地というイメージが強いですが、風力発電では全米首位の規模を誇り、近年は太陽光発電も急増中です。また、人口増加や産業用エネルギー需要の拡大により電力の消費量が急上昇。猛暑や寒波といった気象リスクも相まって、ピーク時の電力不足が大きな課題となっています。

そこで役立つのが系統用エネルギー貯蔵であり、5GWの導入実績により節電要請や停電の回避につながった事例も報告されています。

累計で見るとカリフォルニア州が圧倒的ですが、「年間導入量」や「導入計画」では、テキサス州がカリフォルニア州をじわじわ追い越す見通しも示されており、両州が今後の米国蓄電市場をリードしていく形になりそうです。

2024年の導入予測 – 10GW突破とデータ差の理由

2024年、米国の系統用エネルギー貯蔵は単年で10GWを超えると言われています。英ウッドマッケンジーは、住宅・非住宅を含む全セグメント合計で11.9GW(34.4GWh)が導入されると予測し、2023年比で約29%増と試算。

一方、米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)のデータでは、2024年10月末までに7.7GWがすでに稼働し、残る11月・12月でさらに6.5GWが予定されているため、合わせると14.2GWに達する可能性があると示唆されています。

両者のデータに約2GWの差が生じているのは、計画中の案件の進捗状況や、稼働開始時期の見込みをそれぞれ異なる前提で算出しているためです。しかし、いずれの試算を見ても10GW超えは確実視されており、テキサス州の導入予定は2024年末までに3.4GW、2025年には5.239GWと、今後も力強い伸びが続く見込みです。

カリフォルニア州も2024年に1.697GW、2025年に3.415GWが追加導入されるとされており、米国全体としては需要増と再エネ比率向上の両面から、系統用エネルギー貯蔵がますます不可欠な存在となるでしょう。

まとめ

2023年第3四半期だけでも、3.431GWが導入された米国の系統用エネルギー貯蔵は、電力安定供給の要として急成長を続けています。

累計ではカリフォルニア州が先行するものの、テキサス州が電力需要の急増や気象リスクへの対応を背景に急拡大し、2024年には単年で10GW超えという見通しが現実味を帯びてきました。

ウッドマッケンジーとEIAのデータ差はあるものの、市場が10GW規模へ一気に加速する点は共通認識であり、大容量蓄電の普及が今後の米国の電力安定化と再エネ拡大を支える重要なカギとなっています。

 

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