2024年4月から、蓄電池投資がもっと身近になる? その理由をわかりやすく解説!

なぜ蓄電池投資の見通しが立てやすくなるのか、順番に説明していきます。

容量市場の開始について

容量市場とは何か?

容量市場とは、電力市場の一種であり、将来の電力供給力を売買する市場です。この市場は、卸電力市場とは異なり、4年後の電力供給力を取引することを目的としています。卸電力市場が「発電された電気」を売買するのに対し、容量市場は「予定された電力容量」を取引します。

卸電力市場との違い

卸電力市場では、実際に発電された電力が売買されます。一方、容量市場では、将来の発電能力を売買することで、発電事業者が事業を開始する際に最低限の収益を見込むことができる仕組みとなっています。以下では、両市場の具体的な違いについて詳しく説明します。

卸電力市場の特性

卸電力市場は、主に日々の電力需要と供給に基づいて運営されます。発電事業者は、発電した電力をリアルタイムで市場に提供し、需要に応じた価格で売買します。この市場は、短期的な電力取引を中心としており、供給側と需要側の需給バランスを調整する役割を果たしています。

容量市場の特性

一方、容量市場は、将来的な電力供給能力を確保するための長期的な市場です。発電事業者は、将来の特定の期間における発電能力を提供する契約を結び、その対価として一定の収益を得ることができます。これにより、発電事業者は事業計画を立てやすくなり、投資リスクを軽減することができます。例えば、発電事業者は「2028年に毎月100メガワットの電力を供給する」といった契約を結び、その供給能力に対して予め設定された金額を受け取ることができます。

容量市場のメリット

容量市場の導入には以下のようなメリットがあります

収益の予測可能性
発電事業者は、将来の収益を予測しやすくなるため、投資計画を立てやすくなります。これにより、系統用蓄電池などの新技術への投資も促進されます。
安定した供給の確保
容量市場により、将来的な電力供給能力が確保されるため、電力の安定供給が期待できます。これにより、電力供給の信頼性が向上し、消費者にとっても安心感が得られます。
リスクの軽減
予め収益が見込めることで、発電事業者は経済的なリスクを軽減できます。これは特に、新規事業や大規模な設備投資を行う際に重要です。

系統用蓄電池への投資促進

容量市場の運用開始により、発電事業者は投資の見通しが立てやすくなります。特に、系統用蓄電池への投資は、電力の安定供給や効率的なエネルギー管理において重要な役割を果たします。容量市場の安定した収益見通しにより、投資家は系統用蓄電池への投資を検討しやすくなり、さらなる技術革新と市場拡大が期待されます。

2024年4月から運用開始

容量市場は2024年4月から実際に運用が開始される予定です。これにより、実際の運用状況を確認した上で、投資判断が可能となり、系統用蓄電池への投資の追い風となることが期待されています。

長期脱炭素電源オークションの開始について

長期脱炭素電源オークションとは?

長期脱炭素電源オークションは、再生可能エネルギーを対象とした特定の容量市場の一種です。このオークションでは、再生可能エネルギーを用いた発電能力の取引が行われます。通常の容量市場と異なり、取り扱う電力が再生可能エネルギーに限定されているため、環境に優しい発電プロジェクトが優先されます。

初期費用の回収保証

このオークションで落札された発電事業者には、落札金額が20年間にわたって毎月支払われます。これにより、発電所の初期費用や運用費用の回収が確実に保証されます。例えば、大規模な太陽光発電所や風力発電所を建設する場合、初期投資が非常に高額になることが一般的です。しかし、長期脱炭素電源オークションに参加し、落札することで、その高額な初期費用を安定的に回収できる見通しが立てられるのです。

収益還元の条件

ただし、長期脱炭素電源オークションで得た収益が予想以上に高額となった場合、その超過分の9割は国に還元する必要があります。これは、公共の利益を確保しつつ、発電事業者が適正な利益を得ることを目的としています。この仕組みにより、再生可能エネルギーの導入を促進しながら、公共の利益も守られます。

2024年4月に初回オークションの結果が公開

2024年1月には、初回の長期脱炭素電源オークションが実施され、その結果は2024年4月後半に発表される予定です。初回のオークション結果は、発電事業者や投資家にとって重要な指標となります。この結果が良好であれば、系統用蓄電池事業への投資のハードルが下がり、多くの事業者が新規参入を検討するでしょう。

需給調整市場の解説

需給調整市場とは?

需給調整市場は、緊急時に必要となる予備電力を売買する市場です。この市場は、電力の需給バランスを維持するために重要な役割を果たします。需給バランスが崩れると、停電などのリスクが生じるため、需給調整市場の存在は非常に重要です。

需給調整市場の役割

需給調整市場では、需給バランスを調整するための「調整力」として使用する電力を取引します。この市場には5種類の調整力があり、それぞれ応動時間に応じて分類されています。

応動時間とは?

応動時間とは、電気の供給が必要になり、その指示が届いた際に電力を供給するまでにかかる時間のことです。以下の5つの調整力は、応動時間によって分類されています。

一次調整力
応動時間10秒以内
二次調整力①
応動時間5分以内
二次調整力②
応動時間5分以内
三次調整力①
応動時間15分以内
三次調整力②
応動時間45分以内

取引開始状況

現在、三次調整力①(応動時間15分以内)は2022年度から、三次調整力②(応動時間45分以内)は2021年度から取引が開始されています。2024年度からは、一次調整力と二次調整力(①と②)の取引も開始される予定です。

系統用蓄電池のニーズ

系統用蓄電池は、応答速度が速いため、短い応動時間が求められる調整力において重要な役割を果たします。これにより、需給調整市場での取引拡大が、系統用蓄電池への投資のニーズをさらに高めると期待されています。

まとめ

需給調整市場の全メニューの開設は、系統用蓄電池投資にとって追い風となるでしょう。特に、2024年度からの新たな調整力の取引開始により、応動時間が短い調整力に対する需要が増加し、系統用蓄電池の導入が加速することが予想されます。これにより、電力の安定供給と効率的なエネルギー管理が実現され、持続可能なエネルギーシステムの構築に大きく貢献するでしょう。

 

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