世界が注目する蓄電池の新たな可能性:再生可能エネルギーの拡大を支える鍵

蓄電池の重要性が今、世界中で大きく取り上げられています。本コラムでは、日本をはじめ、蓄電池の導入が飛躍的に進み、その運用実績が明確に見られるアメリカ・カリフォルニア州の事例を紹介し、蓄電池が持つ可能性とその力を探ります。

G7が掲げたエネルギー貯蔵6倍の目標

2050年のゼロカーボン達成に向けて、4月末にイタリアのトリノで開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、2030年までに再生可能エネルギー発電施設を3倍に増やし、さらに蓄電池などのエネルギー貯蔵施設を6倍に拡大することが目標として設定されました。特に日本では、系統用蓄電池の導入と活用が急務とされ、政府による積極的な支援が検討されています。

その背景には、九州地方から全国にかけて急速に広がる再生可能エネルギー発電施設による出力制御の必要性があり、これに対応するため、蓄電池の系統接続の申し込みが急増しています。世界全体では、1,500GWの貯蔵容量が必要とされ、その3分の2を系統用蓄電池が担う見通しです。

カーボンネットゼロに必要な貯蔵容量(GW) 出典:IEA、資源エネルギー庁

カリフォルニア州がリードする蓄電池導入の進展

アメリカ・カリフォルニア州での蓄電池導入(累積) 出典:州公式サイト

カリフォルニア州政府は、再生可能エネルギーの利用を拡大するために、2018年に蓄電池の導入を積極的に推進することを決定しました。その結果、2018年には0.5GWだった蓄電池の容量が、わずか数年で20倍以上の10GWを超えるまでに急成長し、さらに2024年末までに3.8GWの増加が見込まれています。

カリフォルニア州の電源構成(2024年6月20日) 出典:Engaging-Data

特に注目すべきは、この蓄電池導入による効果がすでに明確に現れている点です。カリフォルニア州では、日中の電力需要の大半を再生可能エネルギーでまかない、余剰分は蓄電池に蓄えられています。そして、夕方以降に太陽光発電が減少するタイミングで蓄電池からの電力供給が始まり、安定した電力供給が実現されています。このような先進的な取り組みは、日本でも今後広く採用される可能性があります。

蓄電池の価値を示すデータ

カリフォルニア州の電源構成(2024年6月20日) 出典:Engaging-Data

欧州のシンクタンクEmberによると、100MWの太陽光発電に対して2時間充電可能な60MWの蓄電池を併設することで、年間平均で太陽光発電の価値が数%から最大20%程度向上するとされています。これは、再生可能エネルギー導入が進む日本にとっても重要な指標となるでしょう。

蓄電池だけに頼らない柔軟なエネルギー戦略

このコラムでは、蓄電池が再生可能エネルギー導入を進める唯一の方法だとは言いません。EU各国では、デマンドリスポンスや系統の効率的な利用を優先しつつ、さらに蓄電池の活用を組み合わせることで、大量の再生可能エネルギーを確実に導入しています。

日本でも、太陽光発電の余剰電力を活用するために蓄電池の導入が増えていますが、経済的に見合わないケースもまだあります。そのため、複数の選択肢を考慮し、国の状況に合わせた柔軟なエネルギー戦略が必要とされています。

参考:「世界で躍動を始めた、蓄電池の持つ再エネ拡大のパワー」https://solarjournal.jp/renewable/54395/

 

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